今日は5月11日ですが、この日が来ると当局にとって"心の傷"として悪い意味で強烈な印象に残っている日です。
AKT秋田テレビ(フジテレビ系)で'81年10月14日(水)午後7時30分から同時ネットされ続けた「うる星やつら」(フジテレビ系/'81~'86年)が、"84.5.11"からAKT秋田テレビで同時ネットから時差ネットに格下げされた日となりました。
理由としては、AKT秋田テレビでは'81年にANNに加盟し準・テレビ朝日系列局としての位置付けも担っていたのですが、テレビ朝日が得意としていた情報ワイドショー(「モーニングショー」・「アフタヌーンショー」)や、当時の人気番組の大半(「徹子の部屋」・「欽ちゃんのどこまでやるの!」・「三枝の国盗りゲーム」・「ドラえもん」・メタルヒーローシリーズ・「ワールドプロレスリング」・「あまから問答」・「土曜の朝に」・スーパー戦隊シリーズ・「土曜ワイド劇場」・「ベストヒットUSA」・「象印クイズヒントでピント」・「西部警察」シリーズ・「日曜洋画劇場」ほか)は、もう一方の民放局であるABS秋田放送(日本テレビ系)がガッチリと押さえていた為、AKT秋田テレビが準・テレビ朝日系列局だという認識は正直薄かったです。
当時、フジテレビが『楽しくなければテレビじゃない』を旗印に、軽チャー路線の先端を行くバラエティー・アニメ番組で軒並み高視聴率をマークし続けていたせいかAKT秋田テレビにおけるテレビ朝日系の番組も、せいぜい朝のストレイトニュース番組の「ANNニュースセブン」とフジテレビのローカルセールス枠扱いの時間帯に「忍者ハットリくん」・「霊感ヤマカン第六感」・「特捜最前線」・「クイズタイムショック」・「プロポーズ大作戦」・「必殺」シリーズ・「暴れん坊将軍」シリーズ・「パーマン」・「新婚さんいらっしゃい!」ほかが放送された程度でした。
幼心に、むしろABS秋田放送の方が準・テレビ朝日系列局だという認識を抱いていた程でした。
それだけに'84年春の番組改編で、まさか高視聴率だと聞いていた「うる星やつら」がゴールデン帯から退去させられるとは夢にも思っていませんでした。
代わりに始まったのがテレビ朝日系の「水曜スペシャル」でした。それまで「水曜スペシャル」は秋田県では基本的に未ネットでしたが、「ドリフと女優の爆笑劇場」のみはAKT秋田テレビで週末午後に番販時差ネットされていたので、別に「うる星やつら」を移動させてまで観たいとは思っていなかったので、ショックでしたね・・・。
幼心にテレビ朝日よりもフジテレビの方が人気番組を多く抱えている・・・というのは感じていたので、「何で?」とかなり首を傾げたものです。
「うる星やつら」のキー局同時ネット最後の放送日('84年3月28日)、本来ならばキー局からのネットワークセールス扱いのコマーシャルが流れるべき時間帯に、ブルーバックの画面で『「うる星やつら」は5月11日より、毎週金曜午後5時からお送りします』なる静止画が表示され続けて、幼心に血筋が凍る思いをしたものです・・・。
そして迎えた5月11日・・・AKT秋田テレビの「うる星やつら」は画質・音質がかなり劣化し、キー局同時ネットから時差ネットに格下げされた重みを身をもって経験しました。コマーシャルは当然ローカルコマーシャルばかり。
当時、金曜日は水泳教室に通っていたのでリアルタイム視聴が出来ず、ビデオにタイマー予約録画をしたものの、当時使用していたビデオ(シャープマイビデオV12)がモノスゴく出来の悪いビデオデッキで、チューナーの性能が極めて悪く画面が真っ暗なまま音声しか録音されていなかったりした事も多々ありました。今なら蹴りでも入れているところでしょう。
この改編を機に、AKT秋田テレビではテレビ朝日の番組のネット率が高くなっていった反面、フジテレビとの関係が急激に悪化しました。
フジテレビ側は、特に平日朝のニュース枠(「FNNモーニングワイドニュース&スポーツ」→「FNNモーニングコール」)を午前7時で飛び降りてテレビ朝日の「ANNニュースセブン」をネットしていた事でかなり憤慨しており、AKT秋田テレビとフジテレビとの関係悪化を懸念した秋田魁新報が両局の間に割って入り、AKT秋田テレビにテレビ朝日とのクロスネットを'87年春で取り止めさせたという・・・。
その結果、秋田県の報道拠点を失ったテレビ朝日が"リベンジ"とばかりに、秋田県再進出を目指してテレビ朝日系列局のAAB秋田朝日放送が'92年秋に開局したという・・・。
TOSテレビ大分やUMKテレビ宮崎同様、AKT秋田テレビも準・テレビ朝日系列局としてフジテレビに許容されていれば、秋田県の民放3局目はテレビ朝日系列局ではなくTBS系列局になっていた・・・かも?実際、朝日新聞の秋田県版では『秋田県の民放3局目はTBS系列局』だと一時報じたそうで・・・。
秋田魁新報と関係が深かった(当時はTBS寄りの)ABS秋田放送側としては、もし秋田県の民放3局目がTBS系列局になってしまうと、TBSとの関係が疎遠になるばかりか視聴率争いや広告収入で不利になることを恐れたのでしょう。TBSは一社提供枠が多い局ですからね・・・。
ABS秋田放送にとっては、当時でいう「花王愛の劇場」・「ブラザーファミリーアワー」・「ナショナル劇場」・「ぴったしカン・カン」・「料理天国」・「時事放談」・「兼高かおる世界の旅」・「東芝日曜劇場」をはじめ、当時数多く放送していたTBSのスポンサードネット番組や人気番組の放送権を失いたくなかったのでしょう。ましてや当時、キー局の日本テレビとは大の犬猿の中として業界では広く知れ渡っていましたから・・・。
AKT秋田テレビは『どうせアニメでしょ』程度の捉え方なのでしょうが、『どうせアニメ』一つとっても、これだけ深い事情があったのでした・・・(泣)というか、『これだから朝日は!』なのか?(泣)
'90年代前半ぐらいまでAKT秋田テレビで、主に時差ネット番組が始まる直前にちょくちょく放送されていた静止画。モノスゴい低音ボイスが戦慄モノだった塩田耕一アナウンサーが『AKT・・・秋田テレビです!』とアナウンスするのに思わず身構えたものです(泣)/Copyright (C) 2014 AKITA TELEVISION CO., LTD. All Rights Reserved.
「うる星やつら」三代目のオープニング主題歌♪パジャマ・じゃまだ より。(一部携帯電話からはご視聴頂けません)この主題歌からAKT秋田テレビの「うる星やつら」は時差ネットに(泣)ある意味、トラウマです・・・。/(C)高橋留美子/小学館